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こむら返りの原因は 試合の最中に、ふくらはぎに猛烈な痛みが起きて倒れ込んだ。布団の中で足がつって動けなくなった……。こんな経験はありませんか。通常は数秒から数分程度で治まるこの痛み、俗にこむら返りと言い、その正体はふくらはぎの筋肉の痙攣です。 こむらとは、ふくらはぎのことで、漢字では 「小叢 (こむら)」 と書きます。肉がたくさんついたお尻のことを 「肉叢 (ししむら)」 と呼び、小さな肉の固まりのように見えるふくらはぎを小叢と呼んでいたようです。その後、ふくらはぎ以外の場所に起きた筋肉の痙攣も含めて 「こむら返り」 と呼ぶようになりました。 運動中だけでなく、立ち仕事の人にも起きますし、特に高齢者は布団の中で足を伸ばすだけで起きることもあります。 運動中に足がつる原因は筋肉の疲労です。筋肉が疲れ過ぎると、脳からの指令を伝える神経系との連携を上手く取れなくなるためで、大事な試合の時など、精神的に緊張しているとつりやすいようです。つってしまったら痛くてもストレッチをして伸ばしてください。 こむら返りを予防するために湿布を貼っておくという人がいますが、通常の冷湿布や冷却スプレーは筋肉を冷やすので全くの逆効果です。また、こむら返りは筋肉の痙攣であって炎症ではないので、筋肉の炎症を抑える塗り薬も効果はありません。 こむら返りによく効くのは、芍薬甘草湯 (しゃくやくかんぞうとう) という漢方薬です。予防効果もありますし、つってしまってから内服しても10分ほどで痛みが楽になるようです。 その一方で、就寝中に起きるこむら返りの原因ははっきり分かっていません。関係があると考えられているのが寝ている時の姿勢です。仰向きになって足の爪先が伸びた姿勢がよくないので、横向きに寝るようにしてください。 こむら返りが起きてしまったときは爪先を起こして、立っている時のような状態にします。あるいは膝を立てて実際に足の裏で床を踏む動作をするとおさまります。 また、眠ると体温が下がるので、筋肉が冷えて収縮することも原因の一つです。こむら返りが起きやすい人は、足を冷やさないように気をつけてください。 こむら返りの多くは一過性で、治療が必要になることはまれです。しかし、変形性腰椎症という腰の骨の異常や、肝機能障害、糖尿病、飲んでいる薬の影響などにより起きることもあるため、こむら返りを繰り返す場合は医療機関を受診し、何か治療中の人は主治医の先生にこむら返りのことを報告しておいてください。 |
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