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『ジョージィの物語――小さな女の子の死が医療にもたらした大きな変化』 米国の一流病院で起きた、まさかの医療事故。娘を亡くした女性が悲しみの中から、医療を安全にすべく立ち上がります。原書を読んで、ぜひ日本に紹介したいと考え、出版社に企画を提案して翻訳が実現しました。『ジョージィの物語―小さな女の子の死が医療にもたらした大きな変化』 (英治出版 2015/2/24)が刊行されました。 「安全な医療を作るなんて、病院がしっかりすれば済む話じゃないの?」 こう考えがちですが、病院任せでは医療は変わりません。医療のもう一方の主役である、患者と家族が考え方を変える必要があります。 本書の著者ソレル・キングさんは四児のお母さんでしたが、米国の一流病院で起きた医療事故で幼い末娘を亡くしました。悲しみの中で医療を安全にすべく立ち上がったソレルさんは、自分と同じく医療事故に見舞われた患者とその家族、そして志を同じくする医療者らと心を通わせながら、懸命に娘の物語を伝え、具体的な提言を行います。 その活動は米国政府の医療政策に影響を与え、ソレルさんは 「2010年 世界を変える50人の女性」 に選ばれました。ソレルさんが訴え続けているのは 「医療側を批判し対立するだけでは医療は変わらない。患者側が医療に参加し、両者が力を合わせることでしか医療不信を取り払い、医療事故を防ぐことはできない」というものです。 病院で子供を失った母親がこのメッセージを伝えられるようになるまでに、どんな心の葛藤があったでしょうか。本書は、著者が直面した母親としての苦悩、夫婦の危機、人間不信、そして癒しの過程も飾ることなく描いています。 企画者・翻訳者・監修者としておすすめ箇所を挙げるなら、第16章の最後、第21章のシスターとの対話、そして終章の「子供の死は、巨木が地面から…」に続く言葉です。日本語版の章題は著者の了解を得てつけたもので、第16章「許すことの意味」、第21章「小さな町の奇跡」などは私なりの本書の解釈に基づいています。 また、医療の安全、患者安全という言葉がまだ日本ではあまり知られていないので、巻末の解説で、医療事故の本質、患者安全学の誕生とこれまでの歩み、本書の意義、日本の現状などについて説明しました。 本書が、患者さんとその家族、医療者、そして患者になりうるすべての人が医療の安全について考えるきっかけになりますように。そして一人の女性の人生の選択から人の強さと美しさを感じていただければ幸いです。 「本を書く医師」Topへ |
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