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『日本人の病気と食の歴史』 日本人はどんな病気になり、何を食べてきたのか、1万年の歴史をたどる『日本人の病気と食の歴史 長寿大国が歩んだ苦難の道』(ベストセラーズ 2019/10/17) 刊行されました。 健康に関する知識の普及と、予防法、治療法の進歩はいちぢるしく、克服できる病気が増えています。けれども、ほんの60~70年前までは、日本でもマラリア、赤痢、天然痘、インフルエンザ、結核などの感染症で数万人、数十万人が亡くなる惨事が頻繁に起きていました。 昔の人は懸命に知恵をしぼり、病気を封じ込めようと努めました。ヒルに血を吸わせる、大仏を造る、たびたび改元するなどの他に、ウグイスの黒焼きやヘチマの皮を食べる、桃太郎の絵を飾るなどの「トンデモ医療」もあったようです。 でも、笑ってはいけません。これらの一見非科学的で遅れた医術は、それぞれの時代にはれっきとした「科学」でした。いつの世も、人は「科学的な」姿勢で、真摯に病気に向かってきたのです。 なかでも、健康と長寿のために追求したのが健康に良い食事でした。終戦後に日本人の平均寿命が一気に伸びたのは、食を通じた養生、食養生の長い歴史があったからです。和食ははじめから健康に良かったわけではなく、日本人は長い歳月をかけて和食を改善し、健康食を作りあげました。 現代の日本では、誰もが気軽に健康情報を入手でき、健康診断を受けて体の状態を確認し、必要に応じて医療を受けられる制度が整っています。けれども、医学、医療が発展するにつれて明らかになったのは、薬を飲んだり、手術を受けたりするだけでは健康になれないということでした。 なぜなら、体質や病気のかかりやすさは、生活習慣によってかなりの部分が決まるからです。食生活や心のありようを含む生活習慣を正さない限り、病気の根は残ります。これまでの体と食のかかわり合いの歴史を調べることで、私たちは多くのことを学べるのではないか。こうして生まれたのが本書です。 といっても小難しい話ではありません。日本人の病気と食をめぐる1万年の歴史には日本史のトリビアが満載です。歴史好きな人はもちろん、これまで歴史の本をあまり読んでこなかった人も、読み終わったら誰かに話してちょっと自慢したくなる。そんな本になっています。 「本を書く医師」Topへ |
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